2013年9月23日月曜日

ザ・ロスチャイルドここだけの話(3)

「ザ・ロスチャイルド」ここだけの話 2話

(本稿は、去る7月24日、東京・丸の内KITTE内JPカンファレンスホールで開催された、小説「ザ・ロスチャイルド」出版記念講演会の内容が元になっています)

ワイン愛好家たちは「ロスチャイルド」の名を聞いて心を躍らせます。
フランスでもボルドー産赤ワインは別格ですが、その最上とされる一級格付けは、Ch.(シャトー)ラフィット、Ch.マルゴー、Ch.ラ・トゥール、Ch.オー・ブリオン、Ch.ムートンの5つのシャトーのみです。 このうちラフィットとムートンの2つをロスチャイルド家が所有しています。
ラフィットがフランス・ロスチャイルド家(五男ジェイムズ系)、ムートンがイギリス・ロスチャイルド家(三男ネイサン系)です。


ボルドー5大シャトーのワインたち

まずご紹介するのはシャトー・ムートンです。
ナサニエル・ド・ロスチャイルドが1853年にシャトーを購入しました。 この人物は、小説「ザ・ロスチャイルド」の主人公ネイサン・マイヤーの四男です。
写真は2003年のボトルです。2003年はナサニエルがシャトーを購入してから150周年ということで、エチケット(ラベル)にはナサニエル本人の肖像画と購入時の契約文書があしらわれた、特別なものになっています。


ムートンのエチケットの意匠は年ごとに変わり、当代の偉大な画家や彫刻家たちへ依頼されます。
シャガール、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、マリー・ローランサン、ミロ、サルバドール・ダリ、アンディ・ウォホール、バルテュス…近代・現代美術の巨匠たちの手によるラベルは、もはや〝飲むため″のワインの域を超えて、芸術的価値の高いコレクターズ・アイテムとなっています。

日本人では、1979年に堂本尚郎が、1991年にSetsuko(バルテュス夫人でもある)がデザインを手掛けました。 どちらも未年のエチケットで、もしかしたら2015年は、日本人アーティストによってデザインされたものを目にできるかもしれません。