1週間ほど経って、ホテルの部屋の窓から、朝陽を浴びるフィレンツェの大聖堂を眺めていたとき、日本から国際電話をもらいました。
「『ザ・ロスチャイルド』が第4回城山三郎経済小説大賞に決まったよ、おめでとう」
半年間離れていた、夫の嬉しそうな声が聞こえてきます。
「感想は?」
「ありがとうの言葉で胸がいっぱい」
私は電話を切ると、窓を開けて大きく伸びをしました。
半年間、多くの人たちのやさしさに助けられてきたと思う。 日本で大人の留学を応援してくれた人、異国の地で手を差し伸べてくれた人。
心から感謝します。