2014年4月6日日曜日

4月12日(土)からTV番組がスタートします!

こんにちは、渋井真帆です。
春爛漫の4月、新しい生活や挑戦をスタートさせた人も多いと思いますが、私も新たなチャレンジに取り組んでおります。BS―TBSの全国放送で、歴史経済小説作家として番組を持つことになって2月から全国各地をめぐって撮影をしておりました。
にっぽん人物列伝―歴史に学ぶ危機管理の極意―」、4月12日(土)夜22:54~スタートです。

番組の概要をBS―TBSの資料から抜粋すると・・・、
"地域で頑張る注目企業、その企業一つひとつが持つ物語がある。
今の成功の裏には経営の苦しみ、決断が多くあったことであろう・・・。
歴史経済小説作家の渋井真帆をナビゲーターに、企業を経営するうえでの「危機突破力」を先人のそれと重ねて、企業の成功を紐解いていく。"


2月末、真冬に春のファッション。寒い。


第1回高知編、坂本龍馬と縁の深い桂浜で撮影

全国各地の戦国武将や明治の偉人にまつわる場所を訪ねて、彼らの危機突破力を知るとともに、その地域で頑張る企業を紹介する内容です。変化や競争の厳しいビジネス環境でも高い志と創意工夫、情熱で業績を上げ、地方から国内はおろか世界市場までも視野に入れる経営者の方々は魅力的で、その覚悟に貫かれた生き様はたくさんの感動を与えてくれます。毎週土曜日放送です。ぜひご覧ください。

にっぽん人物列伝―歴史に学ぶ危機管理の極意―
BS―TBS(全国放送)
2014 年4月12日(土)22:54~放送スタート、毎週土曜日


高知を代表する売上高百億円企業、宮地電機㈱の宮地社長へインタビュー。


熊本編でのリハーサル中。熊本城、大好き。

2013年9月26日木曜日

ザ・ロスチャイルドここだけの話(5)

1760年、ポンパドゥール夫人はブルゴーニュ地方で評判の高い、ロマネ村のぶどう畑の入手に乗り出します。
その畑のワインは上質で、先代の太陽王ルイ14世が、健康薬代わりに毎夜スプーン一杯ずつ飲んでいたことで知られていました。 自らの権勢を誇示するため、夫人は畑の所有を熱望します。
そこに横槍が入ります。平民出身の愛妾を快く思っていなかったコンティ公爵がより高い価格で対抗して、落札したのです。 畑はロマネ・ポンパドゥールとならず、ロマネ・コンティとなります。


ルーブル美術館(パリ)にて、ポンパドゥール侯爵夫人の肖像画と筆者

ポンパドゥール夫人は、報復措置でコンティ公を失脚させ、怒りにまかせてブルゴーニュワインを宮廷から締め出します。
代わりになる上質ワインを探すのに躍起になっていた夫人のもとへ、知事としてボルドー地方に赴任していたリシュリュー公爵が、シャトー・ラフィットを携えてやってきます。
余談ですが、公爵はマヨネーズを世に広めた人物です。現在でいえば敏腕な食のプロモーターですね。 夫人とルイ15世はラフィットを気に入り、ヴェルサイユ宮殿の晩餐会の御用達としました。 こうしてCh.ラフィットは「王のワイン」の名声を得ます。

品質ばかりでなくその逸話も魅力的なラフィットの畑は、人々の垂涎の的で、入手は極めて困難でした。 ユダヤ人への反感もありました。
それでもジェイムズ・ド・ロスチャイルドは37年間も粘り、ついに1866年、「王のワイン」の持ち主になります。


ジェイムズ・ド・ロスチャイルド

ロスチャイルド・ジャパンの方と取材でお会いしたときの話です。
「シャトー・ラフィットをいくらでも飲めるなんて、羨ましいですね」と言ったところ、「一級格付けのシャトー・ラフィットの生産は少量で、高く売れますから、めったなことでは飲みませんよ」との答えが返ってきました。
お客さまをもてなすときも、もっぱらセカンドワインだとか。 お金持ちでいくらでも高級なワインを飲んでいるのだろうなあ、などと勝手に想像していましたが、実際は、そんなこともなく、ひたすらビジネスに徹しているようです。

値ごろなセカンドワインといっても侮ってはいけないのだとか。 まさにここだけの話、年によってセカンドワインが1級のCh.ラフィットと同水準、もしくは超えることがあるそうです。
誕生日や記念日に奮発してみるのもいいかもしれません。

ザ・ロスチャイルドここだけの話(4)

「王のワイン」と異名をとるシャトー・ラフィットは、1868年にロスチャイルド五兄弟の末子ジェイムズが新たな所有者となりました。


Ch.ラフィット2008年

元々ラフィットとムートンは隣同士の地続きの畑で、セギュール家が所有していました。
ヴァレンタインの時期に、大きなハートが印象的なエチケットのワインを見かけたことがありませんか。 あの赤ワインはCh.カロン・セギュールといって、ボルドーの3級格付けワインです。
この畑を愛したのが〝葡萄畑の王子″と呼ばれたニコラス・ド・セギュール侯爵です。 彼は18世紀当時、Ch.ラフィットを所有していたにもかかわらず、カロンのシャトーの門柱に「我、ラフィットを造りしが、我が心カロンにあり」と彫らせました。ハートのエチケットは、このセギュール侯爵のカロンの畑への情熱に因んだものです。
友人たちは侯爵の行為に驚きます。 この頃すでにラフィットが「王のワイン」として名声を確立していたからです。


Ch.カロン・セギュール「恋人たちのワイン」として人気

なぜCh.ラフィットが「王のワイン」と称されるようになったのか。 そのきっかけを作ったのが、世界で最も有名なワインといわれるロマネ・コンティです。
時代は18世紀中頃、マリー・アントワネットが断頭台の露に消える30年ほど前です。悲劇の王妃は、まだ、フランスに輿入れしてきていません。 この時期、ヴェルサイユ宮殿に君臨していたのはポンパドゥール夫人、ルイ15世の公式愛妾です。彼女の名前をつけたパン屋さんが日本にあります。 フランスパンを発案したといわれる夫人に、敬意を表して名付けたと聞いたことがあります。

2013年9月23日月曜日

ザ・ロスチャイルドここだけの話(3)

「ザ・ロスチャイルド」ここだけの話 2話

(本稿は、去る7月24日、東京・丸の内KITTE内JPカンファレンスホールで開催された、小説「ザ・ロスチャイルド」出版記念講演会の内容が元になっています)

ワイン愛好家たちは「ロスチャイルド」の名を聞いて心を躍らせます。
フランスでもボルドー産赤ワインは別格ですが、その最上とされる一級格付けは、Ch.(シャトー)ラフィット、Ch.マルゴー、Ch.ラ・トゥール、Ch.オー・ブリオン、Ch.ムートンの5つのシャトーのみです。 このうちラフィットとムートンの2つをロスチャイルド家が所有しています。
ラフィットがフランス・ロスチャイルド家(五男ジェイムズ系)、ムートンがイギリス・ロスチャイルド家(三男ネイサン系)です。


ボルドー5大シャトーのワインたち

まずご紹介するのはシャトー・ムートンです。
ナサニエル・ド・ロスチャイルドが1853年にシャトーを購入しました。 この人物は、小説「ザ・ロスチャイルド」の主人公ネイサン・マイヤーの四男です。
写真は2003年のボトルです。2003年はナサニエルがシャトーを購入してから150周年ということで、エチケット(ラベル)にはナサニエル本人の肖像画と購入時の契約文書があしらわれた、特別なものになっています。


ムートンのエチケットの意匠は年ごとに変わり、当代の偉大な画家や彫刻家たちへ依頼されます。
シャガール、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、マリー・ローランサン、ミロ、サルバドール・ダリ、アンディ・ウォホール、バルテュス…近代・現代美術の巨匠たちの手によるラベルは、もはや〝飲むため″のワインの域を超えて、芸術的価値の高いコレクターズ・アイテムとなっています。

日本人では、1979年に堂本尚郎が、1991年にSetsuko(バルテュス夫人でもある)がデザインを手掛けました。 どちらも未年のエチケットで、もしかしたら2015年は、日本人アーティストによってデザインされたものを目にできるかもしれません。

2013年8月19日月曜日

ザ・ロスチャイルドここだけの話(2)

上の2つの紋章は、ロスチャイルド家とナポレオン・ボナパルトのものです。 左の鷲が翼を広げているのがナポレオンのもの、右の5本の矢がロスチャイルドの家紋です。
周囲の文字はモットーを表し、ラテン語で(Concordia、Integritas、Industria)協調、完全、勤勉とあります。 なぜロスチャイルドの家紋が5本なのか?小説「ザ・ロスチャイルド」に由来のエピソードを織り込みました。読んでみてください。
もしかすると由来のエピソードを知って、「あれっ?戦国武将のあの親子の話に似ているな」と思われるかも知れません。 実は著者である私も、はじめてロスチャイルド家の5本の矢の逸話を知ったとき、そう感じました。

調べてみると、ヨーロッパ各地や中東、中国など世界中に類似の話が存在しています。 そして最後に行き当たるのが古代スキタイ国、紀元前6世紀から3世紀頃まで黒海南部から中央アジアにかけて繁栄していた騎馬民族国家です。
この頃の中国は春秋時代、孔子が活躍した時代です。ヨーロッパの地中海沿岸では古代ギリシアが繁栄していました。


有名な「スキタイの黄金」美術
エルミタージュ博物館所蔵

現代の技術では復元できない

スキタイと古代ギリシアの都市(ポリス)のいくつかは交流があり、スキタイの「矢の話」は古代ギリシア時代に生きた歴史家ヘロドトスの記述に残されています。
スキタイは地理的位置から中国とも交流があったと考えられますから、スキタイの故事が西と東の両方に広まり、2千年以上もの長い間、語り継がれたのだろうと思います。それだけ人の心に訴える話なのでしょう。

実はここだけの話、ロスチャイルド家の方々は、五本の矢のエピソードについて日本人から「オリジナルはどちらですか」とたずねられると、「きっと毛利家ですよ」と答えるのだとか。さすが、如才ないですね。見習うことにします。

次回は小説「ザ・ロスチャイルド」とワインの華麗なる話をお送りします。

ザ・ロスチャイルドここだけの話(1)

「ザ・ロスチャイルド」ここだけの話 1話

去る7月24日に、東京丸の内にあるKITTE内JPカンファレンスホールにて、小説『ザ・ロスチャイルド』出版記念講演会が開催されました。
当日、あいにくの雨空で足元が悪いなかをお越しくださった参加者の皆さま、運営に携わってくださった家計の総合相談センターの皆さま、ダイヤモンド社の皆さまに、心より御礼申し上げます。

おかげさまで沢山の方に来場いただいて、盛況のうちに終えることができました。
ただ、「平日の夜、東京の会場に行くのは難しい。残念である」というお言葉も何件か頂きました。 講演会では、ロスチャイルド家とナポレオン・ボナパルトについて、執筆の過程で知り得たこと、見聞きしたことを紹介しました。

料理あり、音楽あり、絵画あり、歴史あり。小説を読むのに、単に筋書きだけ分かればよいという考え方もあると思いますが、歴史を舞台にした物語の場合、その背景として描かれる事柄がわかると、いっそう楽しく読んでいただけると思います。
そこで、当日お話した内容のダイジェストを、何回かで紹介していきます。『ザ・ロスチャイルド』をすでに読まれた方も、まだ読んでいないという方も、ぜひお楽しみください。

さて、第4回城山経済小説大賞をいただいた『ザ・ロスチャイルド』は、18世紀後半から19世紀はじめ、動乱のヨーロッパを舞台に繰り広げられた、英雄ナポレオンと金融ロスチャイルド家の影の戦い、経済戦争を題材に描かれた物語です。
このロスチャイルド一族、ヨーロッパでは広くその名が轟いていますが、日本では名前を聞いてすぐにピンとくるのは、金融機関や商社、それに飲食関係に勤めている方くらいかも知れません。 彼らは世界的に名の知られるユダヤ人金融財閥一族です。

2013年7月27日土曜日

渋井真帆さんの出版記念講演会

7月24日に、東京丸の内のKITTEにありますJPカンファレンスホールで、渋井真帆さんの出版記念講演会が開催されましたので、その様子をご紹介いたします。

200名以上の方にお申し込みをいただき、たくさんの方にご来場いただきました。
第1部の講演では、城山三郎経済小説大賞の受賞作品「ザ・ロスチャイルド」の取材話、当時の芸術家達の話から現在のロスチャイルド家の様子。
また面白く本を読むコツ、読んでほしいポイントなどをお話しくださいました。


第2部では、佐高信氏との対談でした。
佐高先生のストレートなお話に、真帆さんも時にはタジタジになりながらも、笑い声がたくさんの対談となりました。
次回作についてのお話もありましたので、そちらも楽しみにしたいですね。


スライドショーでもご覧いただけます

当日は、20代~90代までの方がご参加頂きました。
この模様は、週刊ダイヤモンド8月に掲載されますので、そちらも楽しみにお待ちいただければと思います。