2013年9月26日木曜日

ザ・ロスチャイルドここだけの話(4)

「王のワイン」と異名をとるシャトー・ラフィットは、1868年にロスチャイルド五兄弟の末子ジェイムズが新たな所有者となりました。


Ch.ラフィット2008年

元々ラフィットとムートンは隣同士の地続きの畑で、セギュール家が所有していました。
ヴァレンタインの時期に、大きなハートが印象的なエチケットのワインを見かけたことがありませんか。 あの赤ワインはCh.カロン・セギュールといって、ボルドーの3級格付けワインです。
この畑を愛したのが〝葡萄畑の王子″と呼ばれたニコラス・ド・セギュール侯爵です。 彼は18世紀当時、Ch.ラフィットを所有していたにもかかわらず、カロンのシャトーの門柱に「我、ラフィットを造りしが、我が心カロンにあり」と彫らせました。ハートのエチケットは、このセギュール侯爵のカロンの畑への情熱に因んだものです。
友人たちは侯爵の行為に驚きます。 この頃すでにラフィットが「王のワイン」として名声を確立していたからです。


Ch.カロン・セギュール「恋人たちのワイン」として人気

なぜCh.ラフィットが「王のワイン」と称されるようになったのか。 そのきっかけを作ったのが、世界で最も有名なワインといわれるロマネ・コンティです。
時代は18世紀中頃、マリー・アントワネットが断頭台の露に消える30年ほど前です。悲劇の王妃は、まだ、フランスに輿入れしてきていません。 この時期、ヴェルサイユ宮殿に君臨していたのはポンパドゥール夫人、ルイ15世の公式愛妾です。彼女の名前をつけたパン屋さんが日本にあります。 フランスパンを発案したといわれる夫人に、敬意を表して名付けたと聞いたことがあります。